空の下の東京ディズニーリゾート

MOVIE/ラマになった王様

  • 2000年公開のウォルト・ディズニー・フィーチャー・アニメーション作品
  • 原題:The Emperor's New Groove
  • 皇帝クスコが魔法によってラマに変えられてしまい、農民パチャと共に王宮へ戻る冒険を描いたコメディ作品
  • 当初は『Kingdom of the Sun(キングダム・オブ・ザ・サン)』という、よりシリアスで壮大なミュージカル作品として企画されていた
  • 制作途中で大幅な方向転換が行われ、最終的に現在のハイテンションなコメディ作品として完成した
  • 日本では2001年7月14日に劇場公開
  • 公開年:2000年(米国)/日本公開:2001年7月14日
  • 制作:ウォルト・ディズニー・フィーチャー・アニメーション
  • 監督:マーク・ディンダル
  • 脚本:デイヴィッド・レイノルズ
  • 原案:マーク・ディンダル、クリス・ウィリアムズ、デイヴィッド・レイノルズほか
  • 上映時間:約78分
  • ジャンル:アニメーション、コメディ、アドベンチャー
  • 南米の古代文明を思わせる架空の王国を舞台にした作品
  • 主人公クスコは、ディズニー長編アニメーション史上でも特に自己中心的でわがままな主人公として描かれている
  • クスコをラマに変える魔法を使うのは、王宮の元相談役イズマ
  • イズマの部下クロンクは、悪役側のキャラクターでありながら非常に人気が高いコミカルな人物
  • 監督のマーク・ディンダルは、後に『チキン・リトル』も監督している
  • 続編として『ラマになった王様2 クロンクのノリノリ大作戦』が2005年にDVD向け作品として制作された
  • テレビシリーズ『ラマだった王様 学校へ行こう!』も制作され、クスコたちのその後が描かれた

あらすじ

舞台は、南米のアンデス文明を思わせる山岳地帯にある王国。

主人公は、若き皇帝クスコ。

しかしクスコは、国民のことよりも自分のことを優先する、わがままで自信過剰な皇帝だった。

ある日、クスコは自分専用の巨大なプールを作るため、ある村を取り壊してリゾート施設を建設しようとする。

その計画を知ったのが、村で暮らす心優しい農民パチャだった。

一方、王宮では、皇帝の元相談役イズマがクスコに取って代わろうと企んでいた。

クスコはイズマを解雇するが、イズマは復讐のためにクスコを毒殺しようとする。

ところが、イズマの部下クロンクが間違えて毒薬の入った瓶を取り違えてしまう。

その結果、クスコは死ぬどころか、なんとラマの姿に変えられてしまう。

イズマはクスコを始末するようクロンクに命じるが、クロンクは結局クスコを殺すことができない。

そして、ラマになったクスコは、偶然出会ったパチャに助けを求めることになる。

パチャは、自分の村を守るため、クスコにある条件を提示する。

それは、クスコが皇帝の座に戻るためには、パチャの村を取り壊さないこと。

最初は自分勝手なクスコと、誠実なパチャはまったく気が合わない。

しかし、二人はイズマの陰謀から逃れながら、王宮を目指して旅をすることになる。

果たしてクスコは、人間の姿に戻ることができるのか。

そして、自分のことしか考えなかった皇帝クスコは、旅を通して変わることができるのか――。

作品の特徴

  • ディズニー長編アニメーションとしては異色の「ハイテンションなコメディ」に特化した作品
  • 従来のディズニー作品に多かった恋愛要素や壮大なロマンスよりも、キャラクター同士の掛け合いとギャグを前面に押し出している
  • 主人公クスコは、物語開始時点では「善良な主人公」ではなく、むしろかなり嫌な性格として描かれている
  • 物語の面白さは、クスコが「ラマになったから良い人になる」のではなく、パチャとの旅を通じて少しずつ他人の気持ちを理解していくところにある
  • クスコとパチャの凸凹コンビが作品の中心
  • イズマはディズニー・ヴィランの中でも特にコミカルなタイプの悪役
  • クロンクは悪役の部下でありながら、純粋で素直な性格が魅力の人気キャラクター
  • イズマとクロンクの掛け合いは、作品を代表するコメディ要素
  • ナレーションや第四の壁を破る演出が多く、クスコ自身が物語の展開にツッコミを入れるようなメタ的なギャグも特徴
  • クスコが物語の途中で「ここからどうなるか」を先に説明しようとするなど、通常のディズニー作品とは異なる構成が採用されている
  • 「自分勝手な皇帝が、他者との関係を通じて少しずつ成長する」というシンプルながら普遍的なテーマを持つ
  • 映像的には、アンデス地方を思わせる風景や建築、衣装などが作品の世界観を形作っている
  • 音楽面では、スティングが楽曲制作に参加したことでも知られる
  • 当初の企画から大きく方向転換した結果、完成した作品は企画段階とはまったく異なるものになった
  • マーク・ディンダル監督らしいテンポの速いギャグと、キャラクター同士の掛け合いが作品最大の魅力

登場キャラクター

  • クスコ — 主人公。インカ帝国を思わせる王国の若き皇帝。非常にわがままで自信過剰だが、ラマに変えられたことで人生が大きく変わる
  • パチャ - 村で暮らす心優しい農民。クスコの計画によって村を失う危機に直面するが、ラマになったクスコを助けることになる
  • イズマ — クスコの元相談役。皇帝の座を奪おうと企む魔女。クスコをラマに変えた張本人
  • クロンク — イズマの部下。怪力の持ち主だが、非常に素直でお人好し。料理が得意で、天使と悪魔の自分自身による葛藤を見せる場面もある
  • チチャ — パチャの妻。しっかり者で、クスコの計画から家族を守ろうとする
  • チャカ — パチャとチチャの子ども
  • ティポ — パチャとチチャの子ども
  • ルディ — クスコの帝国で暮らす老人。クスコとの印象的なやり取りがある

クスコとパチャ

  • 本作の最大の魅力のひとつが、性格が正反対のクスコとパチャのコンビ
  • クスコは「自分が皇帝だから何をしても許される」と考えている
  • パチャは自分の村や家族を大切にする、責任感の強い人物
  • 最初はクスコがパチャを利用し、パチャもクスコの身勝手さに振り回される関係
  • しかし、二人で旅をする中で少しずつ信頼関係が生まれていく
  • パチャはクスコを一方的に説教するのではなく、クスコ自身に経験を通じて考えさせる役割を果たしている
  • クスコにとってパチャとの旅は、「皇帝として命令する」だけでは何も解決できないことを学ぶ機会になる
  • 最終的には、クスコが他人の立場を理解し、自分の行動を見直すことが物語の大きな転換点になる

イズマとクロンク

  • 本作を語るうえで欠かせないのが、イズマとクロンクのコンビ
  • イズマはクスコを倒して皇帝の座を奪おうとする野心家
  • 一方のクロンクは、悪役の部下とは思えないほど善良で素直
  • イズマの命令には従おうとするものの、根は優しいため、悪事を完全には割り切れない
  • クロンクが自分自身の中の「天使」と「悪魔」に相談する場面は、本作を代表するギャグシーン
  • イズマとクロンクは、ディズニー作品の悪役と部下という関係でありながら、どこか漫才コンビのような掛け合いになっている
  • 特にクロンクは、本編の人気を受けて後の作品では主役級のキャラクターとして扱われるようになった

制作の裏側

  • 当初のタイトルは『Kingdom of the Sun(キングダム・オブ・ザ・サン)』
  • 当初はクスコとパチャを中心にしたコメディではなく、よりシリアスで壮大なミュージカル作品として企画されていた
  • 当初の物語では、クスコとパチャに加えて、王国をめぐる魔法や運命、恋愛などがより大きく描かれる予定だった
  • 制作途中で企画が大幅に変更され、現在の『ラマになった王様』へと方向転換
  • その結果、完成版ではミュージカル要素が大幅に減り、コメディ色が非常に強い作品となった
  • この制作上の大転換は、ディズニー長編アニメーション史の中でも特に有名なエピソードのひとつ
  • 制作過程は後にドキュメンタリー映画『The Sweatbox』で取り上げられた
  • 『The Sweatbox』では、当初の『Kingdom of the Sun』から『The Emperor's New Groove』へと作品が変化していく制作現場の様子が記録されている
  • 結果的に、従来のディズニー長編作品とはかなり異なる独特のコメディ作品が誕生した

ちょっと面白いポイント

  • 英語原題『The Emperor's New Groove』は、直訳すると「皇帝の新しいノリ」「皇帝の新しいグルーヴ」のようなニュアンス
  • タイトルには「裸の王様」を意味する『The Emperor's New Clothes』を思わせる言葉遊びが含まれている
  • 実際にクスコは「皇帝」という立場を失い、ラマという動物の姿になってしまうことで、自分の価値観を大きく揺さぶられる
  • クスコはディズニーの主人公としては珍しく、物語開始時点でかなり自己中心的
  • しかし、その欠点こそがパチャとの旅を通じた成長を際立たせている
  • イズマはディズニー・ヴィランの中でも特に年齢不詳で、非常に個性的なデザイン
  • クロンクは後のディズニー作品でも特に人気の高いキャラクターのひとり
  • 『チキン・リトル』と同じくマーク・ディンダル監督作品なので、両作品を続けて見ると、監督のコメディ演出の特徴がよく分かる
  • ただし、『ラマになった王様』は2000年、『チキン・リトル』は2005年なので、同じ監督でも作品の制作時期には大きな違いがある
  • ディズニー長編アニメーションの「ルネサンス期」から2000年代への過渡期を代表する、かなり異色の作品

続編・関連作品

  • 2005年にDVD向け続編『ラマになった王様2 クロンクのノリノリ大作戦』が制作された
  • 続編ではタイトル通りクロンクが主人公となり、彼の恋愛や人生が中心に描かれる
  • テレビアニメーションシリーズ『ラマだった王様 学校へ行こう!』も制作された
  • テレビシリーズでは、クスコが皇帝になるための条件として学校に通うことになり、学校生活を舞台にした物語が展開される
  • クスコ、パチャ、イズマ、クロンクなど本編のキャラクターが引き続き登場する
  • 特にクロンクは、本編から続いて高い人気を誇るキャラクターとして活躍している

日本語吹き替え

  • クスコ — デヴィッド・スペード/日本語吹替:藤原竜也
  • パチャ — ジョン・グッドマン/日本語吹替:楠見尚己
  • イズマ — アーサ・キット/日本語吹替:京田尚子
  • クロンク — パトリック・ウォーバートン/日本語吹替:堀内賢雄
  • チチャ — ウェンディ・マリック/日本語吹替:一柳みる
  • ルディ — ジョン・フィードラー
  • ティポ — イーライ・ラッセル・リニッツ/日本語吹替:常盤祐貴
  • チャカ — ケリアン・ケルソ/日本語吹替:山田千晴